
2025/12/29
就労支援には、さまざまな方法とステップがあります。
なかでも分かりにくいのが、「就労移行」と「就労継続」です。
この記事では、就労支援の全体像を分かりやすく解説し、「就労移行」と「就労継続」について違いが分かりにくい理由も含めてまとめています。
自分に合った選び方を知り、スムーズな相談へつなげましょう。
「就労支援」は、目指す就労先と契約状況によって、次の2つに分けられます。
・一般就労
・福祉的就労
一般就労は、名前の通り一般企業や公的機関に就職して労働契約を結び、働くことです。
福祉的就労は、一般的な働き方が困難な障がい者を対象とした就労形態です。
福祉的就労の場合、支援を受ける方は、労働者であると同時に、サービス利用者でもあります。そのため、一般就労では労働の裁量が企業側にあるのに対し、福祉的就労では仕事の配分が利用者の希望を優先する形で決定されます。
こうした前提の上に、「就労移行支援」と「就労継続支援A型」、「就労継続支援B型」という支援の形がそれぞれ成り立っています。
就労移行支援と就労継続支援(A型・B型)を整理すると、次のようになります。
・就労移行支援:65歳未満で、就労を希望する人が対象。
・就労継続支援A型:65歳未満で、一般就労や継続的な就労が困難な人が対象。
・就労継続支援B型:一般就労や継続的な就労が困難な人が対象。
就労移行支援は、就労に必要なトレーニングを提案して企業就職を目指す支援です。就職の先には働くことを通じた自立があります。
就労継続支援A型は、一般就労での継続的就労は困難であっても、それぞれの特性に合った働き方を探すことを目的としています。
就労継続支援B型は、工賃制を利用することで、無理のない範囲で就労し、その継続を目指す支援です。
就労移行支援の対象者・サービス内容・利用期間について見てみましょう。
就労移行支援の対象となるのは、身体障がい・知的障がい・精神障がいのある方、発達障がいのある方、または厚生労働大臣が定める一定の疾病、いわゆる難病患者の方です。
65歳以上は原則として介護保険サービスが優先されるため、利用年齢は65歳未満に設定されています。
利用条件は、一般企業への就職を希望しており、就職が可能と見込まれていること、また、サービスを受ける時点で就労していない(離職中)ことです。
就労移行支援を受けるために障害者手帳は必須ではありません。
しかし、自治体や医師の診断を受けた上で「障がい福祉サービス受給者証」を申請する必要があります。
なお「障がい福祉サービス受給者証」の申請は、各自治体で方法が異なります。
自治体の窓口で相談するか、ZEROへご相談をお寄せください。
就労移行支援は、就職に必要なスキルを身につけて自分に合った就職先を見つけることを目的としています。
具体的な訓練内容は多岐にわたります。
挨拶やビジネスマナーといったコミュニケーションのためのトレーニング、パソコンの基本的な使い方や履歴書の書き方などを学ぶことができます。
必要であれば、基本的な読み書きも習得することが可能です。
また、その人の適性に合った職場を探す「職場探し」、安心して長期的に就労するための「定着支援」も行われます。
定着のためのサポートとして、就職後も定期的な面談が行われ、職場で困難が生じていないかなどのヒアリングをします。
就労移行支援の利用期間は原則2年間です。
しかし、特定の条件を満たすことで最長1年まで利用期間を延長することができます。
そのため、利用期間は最長3年(2年+1年延長)となります。
延長するためには、自治体から「就職の見込みがある」と判断される必要があります。
内定状況や企業の実習状況などを鑑みて判断されますが、コロナ禍や災害といった特殊な条件が加味されることもあります。
就労継続支援A型とは、就労移行支援を利用したものの一般企業で働くのが困難とされた方や、ハローワークを通じ企業での就労は少し自信が無いが、仕事には自信がありサポートがあれば働ける方などが対象となるサービスです。
就労移行支援において就労に向けたトレーニングを受けても、さまざまな特性や困難さから一般企業・公的機関への就労が難しいと判断された場合は、継続支援A型もしくはB型に移ります。
就労継続支援A型では、利用者が企業ではなく、事業所と雇用契約を結びます。
なお、A型事業所での業務は、企業から請け負っているものもあり、業務内容が一般企業とあまり変わらないケースもあります。
そのため、A型事業所で就労しながら移行支援や、その先にある一般就労をゴールとする場合もあります。
継続支援A型は、原則として、法律で定められた規定の最低賃金以上の賃金を受け取ることができます。
就労継続支援A型の仕事には、事務作業、清掃業務、軽作業、接客業、製造加工業などさまざまな種類があります。
事務作業:データ入力、書類整理、電話応対
清掃業務:オフィス、ホテルの日常清掃、窓拭き、トイレ清掃
軽作業:部品の組立、検品、仕分け、ラベル貼り
接客:カフェの接客、レジ、商品の陳列など
製造加工業:菓子、雑貨などのものづくり
これらの他、野菜の栽培や収穫、事業所が企業から請け負った介護補助業務などもあります。
これらの仕事で得られる収入は、全国平均で約7万〜10万円です。
都道府県によって定められている最低賃金に違いがあるため、働く地域によって給与は異なります。
就労継続支援B型とは、年齢や体力などさまざまな事情から一般企業への就労が難しい方が対象です。
また、50歳に達している方や、障がい基礎年金1級を受給している方も対象になります。
その他、就労移行事業者などが、B型事業の利用が適切であると判断した方も対象です。
B型は利用者と事業所との間で雇用契約を結ばない就労形態です。
利用者は成果物への対価を「工賃」として受け取ります。
この働き方により、利用者はプレッシャーを感じることなく自分のペースに合わせて働くことができます。
就労継続支援B型の仕事には、軽作業、農業、PC関連、清掃業、手工芸など、さまざまな種類があります。
軽作業:部品の組立、検品、仕分け、ラベル貼り、袋詰め
製造加工業:菓子、弁当、惣菜の製造と加工
PC関連:データ入力、資料作成
清掃業務:オフィス、工場などの清掃、クリーニング業務
手工芸:木工、織物、縫製
これらの作業で得られる就労継続支援B型の工賃は、全国平均で月額23,000円です。
工賃は事業所の売上から経費を引いて利用者に支払われるため、全国で定められている最低賃金の保障対象外となっています。
工賃のみで自立をゴールとするのは厳しいと言わざるを得ませんが、報酬改定などにより年々上昇はしています。
作業を通じてパソコンやクリーニングなど専門的なスキルを身につけられる、作ったものが売れる達成感を得られる、接客で社会とのつながりを実感できるなど、収入以外に得られるメリットも大きなものです。

2025/12/01
受給者証は、「就労移行支援を利用するための許可証」です。
就労移行支援は誰もが受けられるサービスではありません。
市区町村の自治体が発行する「受給者証」を発行してもらうことで、初めて受けられるようになります。
今回は、「受給者証」にどのような役割があるのか、そして受け取るためにどのような手続きが必要か、について順番に紹介します。
まずは、受給者証の基本をおさえておきましょう。
利用できる福祉サービスと、対象となるケースについてまとめました。
なお、受給者証は正式名称を「障害福祉サービス受給者証」といいますが、この記事では分かりやすく「受給者証」と表記します。
就労支援をはじめとする福祉サービスは、費用の一部あるいは全額が公費負担でまかなわれています。
必要とする人が正しく適切なサービスを利用できるよう、受給者証が使われています。
受給者証で利用できる福祉サービスには次のようなものがあります。
・就労移行支援
・就労定着支援
・就労継続支援A型(雇用型)
・就労継続支援B型(非雇用型)
・自立訓練(機能訓練/生活訓練)
・自立生活援助
・共同生活援助(グループホーム)
これらは「訓練等給付」に分類される福祉サービスです。
他にも「介護給付」に分類される居宅介護(ホームヘルプサービス)や、短期入所(ショートステイ)、訪問介護、生活介護などのサービスがあります。
訓練等給付は、就労や自立をサポートするための訓練、サービスが中心です。
一方で、介護給付は日常の生活をサポートするためのサービスが中心になっています。
障害福祉サービス受給者証の申請ができるのは、次の条件に当てはまる方です。
・身体障害のある方
・知的障害のある方
・精神障害のある方
・障がい者総合支援法の対象となる難病と診断された方
・療育の必要性が認められた障害児の方
医師の診断書および意見書、児童相談所の判断によってこれらの条件に当てはまるとされる方は、受給者証の申請ができます。
この場合、障害者手帳を持っていなくても、診断書や意見書があれば、申請をすることができます。
ただし、自治体によっては利用サービスごとに細かい規定が設けられている場合があるので、申請の際に確認は必要です。
申請と手続きは、自治体によって少しずつ違いがあります。
そのため、ここではZEROのある長野県を例として必要なステップを見ていきましょう。
実際に申請をする際は、住んでいる自治体の窓口にあらかじめ確認するようにしてください。
長野県では、各市町村の窓口で手続きを行います。
そのため、まずは就労移行支援を利用したい旨を自治体の「障害福祉窓口」や「相談支援事務所」に相談するところからスタートしましょう。
申請には、次のものが必要になります。
・主治医の診断書/意見書
・本人確認書類(マイナンバーカードなど)
その他、印鑑、障害の状態が確認できる書類や、保健福祉センター所長が必要と認める書類など、自治体によって追加の持ち物が定められている場合もあります。
また、障害者手帳をすでに持っている場合は、手帳を持参する必要があります。
持ち物について心配な場合は、まず相談窓口やZEROのようなサポート窓口へお問い合わせください。
申請〜審査〜受給者証支給までは、1〜2ヶ月前後かかります。
市区町村の状況によっては、さらに長い時間がかかることもあり、最初のうちは「暫定支給」となることもあります。
順番にみていきましょう。
申請すると、まず就労移行支援などのサービスを受けるのに適しているか、認定調査が行われます。
認定調査とは、実際の生活状況を自治体の職員がヒアリングすることです。
審査が完了すると、調査に基づきサービス等利用計画案が作成されます。
この計画案は、どのように支援を利用するかという具体的な方法を盛り込んだもので、申請者本人が作成することもあれば、指定特定相談支援事業者が作成することもあります。
自治体によっては、本決定の前に2ヶ月ほど「暫定支給」が行われることもあります。
暫定期間は、実際に就労移行支援を利用しながら、福祉サービスの利用が妥当かどうかを判断するために設けられています。
サービス利用が「本決定」となると、自治体から申請者本人の元へ通知書と受給証が送られてきます。
受給者証を受け取ったら、就労移行支援事務所と正式に契約を結び、利用を開始することができます。
受給者証は一度取得すれば良いというわけではありません。
有効期限が決まっていて、それを超えてサービスを利用したい場合は更新手続きが必要です。更新手続きは、期限の1〜3ヶ月前から行えるのが一般的で、期限が近くなると自治体から更新のお知らせが届くようになっています。
更新のお知らせを受け取った時に利用を延長したい場合は、忘れず早めに手続きを行うようにしましょう。
ちなみに期限切れを更新せずにいた場合は、改めて行った申請が受理されるまで就労移行支援などのサービスが一時的に利用できなくなるケースがほとんどです。
継続的な支援を受けられるように、更新手続きは早めに行いましょう。
受給者証を受け取ったら、自分に合った就労支援を受けることができます。
最適な事業所選びができるよう、就労移行・A型・B型・定着支援の違いと、事業所を選ぶ時の見学のポイントについてみてみましょう。
受給者証で利用できる就労支援などの福祉サービスには、就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)、就労定着支援という種類があります。
就労移行支援は、一般就労を希望する方をサポートするサービスです。一般企業への就職を目指す方が利用します。
就労継続支援A型は、一般企業への就職に困難を感じる方をサポートするサービスです。
働く場所の提供と、スキル向上のための訓練を実施します。
B型は、一般企業やA型での就労が難しい方を支援するためのサービスです。
A型では雇用契約が結ばれるため賃金が発生します。
B型では雇用契約を結びませんが、工賃という形で労働の対価が支払われます。
例えば、雇用契約にとらわれず社会と接点をもつことからスタートしたい場合は、B型から始めます。
就労定着支援は、就職した後の定着をサポートするサービスです。
一般企業に就職した障害のある方を対象としたサービスで、一つの企業で長く働けるよう課題解決に一緒に取り組んだり、企業との調整を行います。
自分に合った支援を受けるには、事業所選びも重要です。
見学をして、適した支援が受けられるかどうかをよくみてみましょう。
事業所の見学は、Webサイトの問い合わせ窓口から申し込むのが一般的ですが、電話、チャットから申し込みできる事業所もあります。
見学では、事業所のスタッフに気になる点を質問することもできるので、心配なことや不安なことは質問してみてください。
見学後は、本当にその事業所が自分に合っているかどうか「体験」を通して確認することもできます。体験では訓練プログラムを受けたり、一日の流れを実際に行ったりすることで、「自分が就労支援を受けるイメージ」を描きやすくなります。
見学・体験では、分からないことやもやもやしていることをなるべくスタッフと共有するようにしてみてください。
不安なことを共有することで、支援を受けやすくなり自分に合っている事業所を見極めやすくなるはずです。
ここまでの復習として受給者証の申請と就労支援の利用について、よくある質問をまとめました。
Q:障害者手帳がないと受給者証の申請はできないのですか?
A:障害者手帳がなくても、受給者証の申請はできます。医師の診断書・意見書など障害の状態が分かる書類があれば申請が可能です。
Q:受給者証は申請からどれくらいで支給されますか?
A:自治体によって違いはありますが、およそ1〜2ヶ月前後です。市区町村によっては正式な発行前に2ヶ月ほど「暫定支給」期間が設けられることがあります。
Q:申請はどのタイミングで行ったらいいですか?
A:一般的に、利用したい就労移行支援事業所を決めた段階で申請することが多いようです。事業所が決まれば、スタッフから詳しい説明を受けることができるので、申請までスムーズに行うことができます。
Q:通所予定の事業所が決まっていなくても申請はできますか?
A:申請できるかどうかは、自治体によって違いがあるのが現状です。一般的には、事業所が決まってから申請する方がスムーズとされています。
Q:申請が通らないことはありますか?
A:申請については各自治体の判断に委ねられています。ですが、もしも却下された場合は自治体に却下理由を確認することができます。また、納得できない場合は3ヶ月以内に審査請求を行うことができます。
スムーズに支給決定がなされるよう、一緒に取り組んでいきましょう。
受給者証は、適切な就労支援を受けるために欠かせないものです。
申請から支給には1〜2ヶ月かかりますが、暫定支給などの制度を利用して適切な就労支援を受けることができます。
就労支援にはA型、B型、継続支援といったさまざまなタイプがあり、無理なく進められるぴったりの制度がきっと見つかります。
まずはZEROの窓口へ、お気軽にご相談をお寄せください。




